みんな男性をの自尊心を守りつつ寄り添う優しい嫁が欲しい
古典的な夫婦像にノスタルジーを感じる人達の思う理想の女性
小倉による三つの階級別の結婚観を参考にし、パリ症候群予備軍の女性たちはミドル階層にあたると述べた。もうおわかりかと思うが、「フランス人男性の自尊心をお守りしてくれる女」もやはりミドル階層に多い。まず、依存願望がある女性が多いので、「強いフランス人女性」との関係に疲れて古典的な夫婦像にノスタルジーを感じている男性には好都合なのだ。実際にフランス人男性と結婚している日本人女性で、夫と同じだけのキャリアを持つ人は少ないように思う。
とはいえ、まったくの専業主婦ということもない。これは「家事以外に能のない妻」はフランスではかなりのマイナスイメージを持たれるからだろう。夫がそれとなく自慢にできるような職業、日本に住んでいる場合は定収のないフランス語の通訳・翻訳業、フランスに住んでいる場合は非常勤の日本語講師や日本人留学生の仲介業のアシスタントなどが多い。それだけでは食べていくのが困難な仕事だが(これは私も経験から知っている)、養ってもらっているので問題はない。
こうして夫の自尊心は保たれ、妻の依存願望も満たされる。このタイプの日仏カップルは、成るべくして成っているわけだ。最終章では日♀仏♂カップルに見られる問題を考察し、日日カップルがそこから学ぶべき点を考える。くりかえすようだが、ここでの日仏カップルとはこの章で分析した心理的プロセスを経て誕生したカップルのみを指す。これにあてはまらない日仏カップルの方々は、「うちはこうじゃない」と思って読んでくれればいい。逆説的なようですが、日日カップルの方々には他人事ではありません。
これが文化的相対主義だ。「フランスの法律を適用してほしいとアフリカ出身の少女たちが願っても、文化的相対主こうまい義を謳う高遭な人々は聞こえない振りをした。(中略)不寛容と非難されるのを恐れて、政府関係者は文化的差異の前にひざまずき、被害者の苦しみに目を向けなかった」このバダンテールの批判は、ポリティカリー・コレクトであろうとする言説に隠されている欺隔を暴きだしている。
文化的相対主義といううわべの寛容さが、政府の無為無策を正当化し、結果として被害者の首を絞める。けんかになるとつい黙ってしまう文化的相対主義という大義名分のもとに女性差別を容認する政治家と、日本人女性と結婚したフランス人男性を一緒にするつもりはないが、実は後者にも同じような態度が見られる。
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